生活上のある体験を原因とする重い心の傷、精神的な外傷であり、一般に「心的外傷」といわれています。自らの処理能力を超えるような強烈な体験をした場合、心は、その体験から自らを守るために、それを瞬間的に冷凍してしまう機能を持っています。

自分に責任はないのに自分を責める
怒りっぽい、イライラする
一人でいるのを怖がる
親からくり返し、ののしられた
学校でいじめを受けたことがある
身体的暴力を受けたことがある
性的暴力を受けたことがある
精神的暴力を受けたことがある
急に興奮する
無力感・疎外感を感じる
トラウマ  Q&A
Q:トラウマはなぜ起こるの?
A:人はこの世に秩序と連続性を見出そうとしています。こうしたものが無いと、とても安心しては暮らせない。明日も今日のようであるだろう。今日はよかったから、明日もまたよいはずだという認識です。心の傷になるような衝撃的な出来事は日常の連続性を遮断し、人が生きるための大切な基盤である安全間にヒビを入れます。
Q:トラウマの症状とはどんなものですか?
A:自分ひとりが、特定の他人から攻撃を受ける状況では、トラウマはさらに酷いものになりがちです。トラウマの被害にあったとき、人は被害の痛みの他に、そのような被害の犠牲にあった自分というものへの自身と肯定感も失うのです。こうしたトラウマを体験すると、その悲惨な記憶はなかなか脳裏を離れなくなってしまいます。
Q:どのような影響がありますか?
A:特に子供のころに受けた心の傷は憶えていなくても心のなかにずっと残っています。それはいつどこで、どんなことがあったかという明確な記憶ではなく、形のない傷となって心の奥底に残っているのです。その傷が癒されないまま大人になったとき影響は意外な形で表面化します。
Q:フラッシュバックとはどんな症状ですか?
A:過去となった出来事のはずなのに現在に進入してくる。その形は、記憶(辛い・苦しい・心が痛いなど)のフラッシュバックや、悪夢となって苦しめられることもある。そのため、トラウマを受けたときに体験した、あの強烈な情緒といつまでも苦闘し続けているのです。また、トラウマ体験から自分自身を護るために、そのとき学んだ自己防衛の手段を現在も使い続けている。これらが、トラウマ体験から逃れられない条件にもなってしまうのです。
Q:トラウマ体験って特別なこと?
A:実はトラウマというのは、皆さんが一般に考えているよりもずっとありふれたものなのです。一般的にトラウマとされている戦争体験や子ども時代の虐待や、自然災害以外にも、トラウマを引き起こす要因はたくさんあります。例えば交通事故、病気、手術など病院での処置や歯医者での処置、「自分や他人がおびやかされる危険」というのは、実はとても主観的なものです。客観的にみて、「こんなことで命がおびやかされたりしないよ」と思うことでも、本人がそれを身の危険と知覚すれば、それがトラウマの原因となるのです。